| 泣く子と 〆切にゃ勝てぬ |
| どうも世の中勘違いしているようなので、ここではっきりと言っておこう。 「家で仕事するなら、子供を見ながらできる」なんて考えは 大間違い なのだ。 嘘だとおもうアナタ、一度やってみなされ。響き渡る雄叫びと、容赦のない「かまって攻撃」にどれだけ爆発せずに仕事が続けられるか。 2時間耐えられたら拍手喝采。そのすばらしい集中力と忍耐力に限りない賞賛の言葉を贈ろう。 なにせ、お子サマ族というやつは、いるだけで騒音の源。飛び跳ねて振動を起こし、狭い部屋の中をドタバタと駆け回り、どこかにぶつかって痛いとわめき、突然不可解な奇声をあげて叫ぶ。 たわいもないことでも、大発見のように喜び勇んで「ねぇねぇ」と報告に来る。生返事でもしようものなら、「ねぇねぇ」の声はだんだんトーンの目覚ましのようにクレッシェンドがかかり、やがて声を限りの叫びと化すのだ。 呼んでるのはわかってるから、用件を早く言えっつーの! 大声に対抗すべく大声で威嚇すれば、事態は泥沼。ムカついて怒りゃ泣くし、身体を張って黙らせようとすれば「遊び」と勘違いして、ボカスカ手加減なしで殴りかかってくる。テンションのあがったガキを止めるには、ハハとて至難のワザなのだ。 すったもんだの攻防のあと、いったんおとなしくなったかと思えば、次の瞬間にはオモチャの大軍が不協和音を奏ではじめる。続けて、やれ喉が渇いた、ジュースをこぼした、オシッコに行きたいというお子サマ特権の連続攻撃が容赦なく浴びせかけられる。この状態で無我の境地のまま筆を進められる人がいたら、高僧なみの悟り、仙人なみの精神力の持ち主である。 しわとしわとを合わせて拝んでしまいそう。なむー。 |
確かに、我が子はかわいい。近所のガキを横目で見ては「フッ、勝ったな」とほくそ笑む親バカなワタシだ。甘ったれてくればギュッと抱きしめ、くすぐりっこだのチューだの、くっつき合ってベタベタである。しかし、そんな愛しいムスコとて、仕事の場には邪魔なのだ。ビジネスに愛はいらないのだ。 仕事か子供か。そんな問いかけに答えられるわけがない。 ワタシはどっちも欲しいんだもの。どっちも捨てたくないんだもの。 だったらビジネスタイムはムスコから逃れるしかない。 そう、後光かがやく保育園への隔離である。 |
| とはいえ、楽園への入場門は狭い。こちらがどんなに熱望しようが、入園には「定員」という大きな壁がある。さらに、在宅仕事とくれば、冒頭にあげた大きな誤解がさらに壁を高くするのだ。入園申し込みの相談では 「毎日忙しいんですか」 「そんなに大変なんですか」 という確認が執拗に繰り返される。 言葉のはしばしに疑惑のオーラを感じるのは、気のせいだろうか。実際のところ、家で仕事することが入園審査にどの程度影響を与えているかはよくわからない。しかし、それで優先順位が上がったという話は、まるで聞いたことがない。 |
| 順当に行けば入園式を迎えたはずの4月を過ぎ、ムスコが保育園へと通い始めたのは6月だった。待ち時間が2ヶ月で済んだのはラッキイだったんだろう。それとも、目の下にくまをこさえ、ヨレヨレの服で髪を振り乱しながら市役所へと通い詰めた成果だろうか。 一時期オンナを捨てる勇気があるなら、お試しあれ。 うまくいかなくても、当局は一切関知しないけど。 |
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